ブロックパズルの歴史 — 敷き詰めから落ちもの、そして8×8の盤面へ
ポリオミノの数学、1980年代の落ちものの時代、そしてスマートフォンで生まれた「落ちない」枝分かれ。いまの8×8盤面までの流れをたどります。
いま遊ばれているブロックパズルは、格子に形を置いて、埋まった行や列が消えるという、ごく単純なルールでできています。この単純さは新しく発明されたものではなく、性質の違う三つの流れが合流した結果です。ひとつは数学の敷き詰めパズル、ひとつは1980年代の落ちものゲーム、ひとつはスマートフォンという入力装置です。
正方形をつないだ形の数学
正方形をいくつか辺でつないだ図形をポリオミノと呼びます。2個ならドミノ、3個ならトロミノ、4個ならテトロミノ、5個ならペントミノです。この呼び名を体系として整えたのは数学者ソロモン・ゴロムで、1950年代のことでした。名前が付く前から、その形を箱に敷き詰めるパズルは存在しています。
ペントミノの敷き詰めは、いまのブロックパズルにきわめて近い問題です。決まった形の集合が与えられ、決まった大きさの領域があり、隙間なく収まる並べ方を探す。うまくいかない配置は、たいてい「あと1マスだけ空いた、どの形も入らない場所」を作ってしまったせいです。ブロックパズルで盤面が詰むときに起きているのも、まったく同じことです。
さらに遡れば、図形を切り分けて別の図形に組み直す分割パズルや、木片の敷き詰めパズルは、はるかに古くから世界各地にあります。「形を、隙間なく、決まった枠に収める」という遊びは、電子ゲームよりずっと歴史が長いということです。
この系統のパズルには、いまのブロックパズルにそのまま受け継がれた性質があります。難しさが、形の複雑さから来ていないという点です。使う形はどれも単純で、覚えるべきことは何もありません。難しいのは、その単純な形を、順番に、後戻りできない形で置いていくところです。一つひとつの判断は易しく、その積み重ねだけが難しい。
落ちものの時代が語彙を作った
1980年代半ば以降、画面の上から形が落ちてきて、下に積み上がり、横一列が埋まると消える、という形式のゲームが広く遊ばれるようになります。この時期に起きたことのうち、後の世代にとっていちばん大きかったのは、遊び方そのものよりも語彙が共有されたことでした。
4マスのテトロミノ、棒、正方形、L 字、T 字、S と Z。この形の一群が、ほとんど説明不要の共通語になりました。いまブロックパズルを初めて起動した人が、チュートリアルをほとんど読まずに置き方を理解できるのは、この時代の遺産です。
この形式には共通する性質がいくつかありました。時間が制約であること、重力があること、消えた行の上が落ちてきて積みが自分で少し治ること、そして次に来る形が予告されること。どれもゲームを反射と手順の技能に寄せる働きをします。
とくに重力の存在は、盤面の読み方そのものを決めていました。ピースは必ず下から積み上がるので、盤面には「高さ」という一次元の指標が生まれます。低く平らに保つのがよい、というのはそこから出てくる判断です。この感覚は非常に強力で、しかもあとで見るように、重力のない盤面ではほとんど役に立ちません。
スマートフォンで枝分かれが起きた
指で画面に直接触れる装置が普及すると、別の作り方が現実的になりました。形をつまんで、置きたい場所へ運んで、離す。この操作は落下と相性が悪い代わりに、「時間の制約をなくす」ことと非常に相性がよかった。
こうして生まれた枝には、いくつかのはっきりした特徴があります。
- 重力がない。ピースは置いた場所に留まり、勝手に降りてこない。
- 手持ちのピースが少数まとめて渡され、置く順番を自分で決められる。
- 行だけでなく列も消える。盤面が正方形なので、その扱いが対称になる。
- 消えたあと、上のマスが落ちてこない。盤面は自分では治らない。
この四つが合わさると、ゲームの性質が根本から変わります。時間の圧力がないので、負けは操作の失敗ではなく判断の失敗になります。盤面が自己修復しないので、一手ごとの小さな妥協が消えずに積み上がります。結果として、反射のゲームだったものが空間の計画のゲームになりました。
同じ形式のなかでも派生があります。よく見かけるのは、数独のように盤面を小さな区画に分け、行と列に加えてその区画が埋まっても消える、という変種です。判定が三種類になるぶん、盤面の読み方はさらに込み入ります。盤面の大きさにも幅があり、正方形であることだけが共通しています。行と列を対称に扱うには、縦横が同じ長さである必要があるからです。
手持ちのピースの数も、この枝ではひとつの設計上の選択になりました。落ちものでは操作するのは常に一つですが、こちらでは複数を同時に渡し、置く順番をプレイヤーに委ねます。順番を選べること自体が判断の中身になり、そのぶん一手の重みが増します。補充の条件——たとえば三つ使い切ってから補充する——も、計画の単位を決める重要な部分です。
木の見た目はどこから来たか
この系統のゲームでは、木目のピースと木の板のような盤面がひとつの定番になりました。理由は機能ではなく雰囲気の側にあります。時間制限のない、静かに考える遊びに、明滅する光や派手な効果音は合いません。木のような素材感は、テーブルの上に木片を並べているという手触りを画面に持ち込みます。
そしてこの見た目は、実は歴史的にも筋が通っています。もともとの敷き詰めパズルは、多くが木でできた実物のパズルだったからです。
いまの8×8盤面が受け継いだもの
8×8 の盤面に、棒、正方形、L と T と S と Z の一族、角のトロミノ、十字などを置いていく。この構成は、三つの流れの合流点にあります。形の集合はポリオミノの伝統から、消去のルールは落ちものの時代から、時間のなさと計画の重さはスマートフォンの枝から来ています。
そして、いちばん古いところから受け継いだものが、実は中心にあります。敷き詰めパズルが問うていたのは「入るか」ではなく「入る余地を残せているか」でした。ブロックパズルで一局が終わるとき、負けているのはいつもその問いです。
よくある質問
ブロックパズルはテトリスの模倣ですか
形の語彙は落ちもの時代の遺産ですが、遊びの構造は別系統です。重力がなく、消去のあとに詰め直しが起きず、列も消え、次のピースの予告もありません。むしろ、電子ゲーム以前からあるポリオミノの敷き詰めパズルに近い問題を扱っています。
ポリオミノとは何ですか
正方形を辺でつないだ図形の総称で、数学者ソロモン・ゴロムが1950年代に体系づけた呼び名です。2マスならドミノ、4マスならテトロミノ、5マスならペントミノと呼びます。ブロックパズルに出てくるピースは、ほぼすべてポリオミノです。
なぜ木目のデザインが多いのですか
ひとつは雰囲気の理由で、時間制限のない静かな遊びに落ち着いた素材感が合うからです。もうひとつは歴史的な理由で、もともとの敷き詰めパズルの多くが実際に木でできた実物のパズルだったからです。
落ちものとの最大の違いはどこですか
消えたあとに上のマスが落ちてこないことです。落ちものでは積みが自分で少し治りますが、この系統では盤面は決して自己修復しません。中央にできた孤立した1マスは、そこを通る行か列がまるごと埋まるまで残り続けます。
実際の盤面で試す
Blockwood は横9マス・縦12マスの盤面で遊ぶ木製ブロックパズルです。落ちてくるものはなく、置けない手が配られることもありません。手は渡される前に、いまの盤面で置けるかを確かめられています。エンドレス、タイムアタック、作り込まれたステージ、デイリーチャレンジ。無料、オフライン、広告なし、アカウントなし。